3丁目
わたしは生粋のびびり
結婚して住み慣れた町の
3丁目から4丁目に移り住む
3丁目はのどかでいいが
4丁目は車が多くチャラチャラしていてこわい
でもそれなりに楽しく暮らしてはいたけど
2年ほど住んだ頃
縁あってまた3丁目に住むことになる
実家の3本ほど向こうの筋の借家
この場所はなかなかいい
でも3丁目は3丁目でも一本ちがうだけで
夜暗くてこわいから
同じ3丁目でもあなどれない
3丁目の実家があるあの筋からこの筋あたりが
ピンポイントでわたしのパワースポット
そうおもって
平和に暮らしていたのもつかの間
今度は隣町の
祖母が住んでいた家に移り住む話が出る
いくら祖母が住んでいたとはいえ知らない町
信号を一つと暗いガードも抜けていかなければならない
チャリで6分はかかる
そんな得体の知れないおそろしい町へ
行くことはできない
過保護の母は
ちょっとあの家は遠すぎるなあ
と言った
でも
祖母の家を空き家にしておくことはできない
それにわたしたち家族にとっても
隙間風びゅーびゅーの古い借家に住んでいるより
祖母の家に移った方が
快適に過ごせることは分かりきっている
なんやかんやで話は進み
いざ移り住んでみると住めば都
わたしは3丁目のあのスーパーが好きなんや
あのスーパーの品揃えは
この町の客層をよく理解している
豚肉はあっこのやんばるポーク以外食べたくない
知らん町のあんな人の多い微妙に小洒落たスーパーには
ぜってー行きたくねーとおもっていたのに
ひょいっといけるように
というか愛用するようになったし
ガードがある真っ暗で恐怖のストリートだと
おもっていた場所は
住めば住むほど明るく感じるようになった
新しいことをはじめることには
とても勇気がいる
でも一度勇気を踏み出してみれば
おもったよりこわいことではないかもしれない
もしかしたら思った通りこわいかもしれないけど
でもやっぱりこわくないかもしれない
けどこわいかもしれないし
こわくないかもしれない
だれだって自分の可能性を信じたい
だから最初の一歩を踏み出す
臆病なビビリの震える第一歩を
どこかのだれかは必ず応援してくれている
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